あらすじ
早く消えたかった私が、初めて、死なせたくない人に出会ってしまった。
奇跡を起こす力の代価は、己の燈――余命。焚けば焚くほど、寿命が燃える。妹がくれた時間で生き延びた私は、八年ずっと、勝って減ることに肩の力が抜けてきた。早く使い切ってしまいたかった。
そんな夜、自分の灯を消そうとする少女に出会う。やさしい顔で近づく者は最後に必ず奪う、と信じて救いを拒む子。触れた指のあいだに、ほどけない縁糸が一本、勝手に結ばれてしまった。
結ばれた二人の燈は、双方向に連動する。私が焚けば、この子からも引かれる。片方が尽きれば、もう片方も道連れ。
与えすぎる私と、拒みすぎるあの子。生かそうと勝つほど、二人は一緒に死へ近づく。
死にたがっていた私が、いま、初めて思ってしまった。この冷たい手を、離さない。
減らさずに勝つ道を、私はまだ知らない。