あらすじ
十九歳の小川小春は、高校を卒業してすぐ、スーパーに就職した。
早く一人前にならなきゃ。
ちゃんと働けていると思われたい。
学生気分だなんて思われたくない。
そう思いながら、今日も小春は「大丈夫です」と笑っていた。
大丈夫じゃない日にも。
閉店前の売場変更で小さな失敗をした夜、
小春を助けてくれたのは、高校二年生のアルバイト・朝倉湊だった。
無口で、静かで、でも誰より周りを見ている男の子。
「全部きれいに戻らなくても」
「見えるところがちゃんとしてれば、大丈夫です」
その何気ない言葉に、小春の心は少しずつほどけていく。
社員とアルバイト。
十九歳と十七歳。
近いのに、簡単には踏み込めない距離。
閉店後のスーパーで、売れ残った商品を片づけながら、
二人は少しずつ、お互いの孤独に気づいていく。
これは、ちゃんとできない自分を抱えた二人が、
レジの明かりが消えるまでの時間に、そっと近づいていく物語。