あらすじ
「泥臭い辺境令嬢など、王都にはふさわしくない」
王城の夜会で婚約破棄されたリナリア・ヴォルクハルトは、その瞬間、前世の記憶を取り戻す。
彼女はかつて、日本の町工場を継いだ女性社長だった。
大企業の下請けとして理不尽な単価切り下げや納期前倒しに耐え、社員を守ろうとして過労死したのだ。
そして今世でも、実家の辺境伯家は王都魔導商会に搾取され、領地の工房は潰れかけていた。
もう二度と、下請けとして奪われない。
もう二度と、職人の名前を消させない。
リナリアは、王都で「使い物にならない」と捨てられた低品質魔石《濁り石》と、廃工房に残された職人たちの技術に目をつける。
失敗を隠さず記録する『失敗帳』。
職人の責任と誇りを刻む『工番札』。
そして、辺境の過酷な現場で止まらず人を救う小型魔導炉《常火》。
美しくても止まる王都製魔導具ではなく、泥臭くても命を救う実用品を作るため、リナリアは工房の仲間たちと立ち上がる。
だが、王都商会は黙っていない。
不当請求、名称横取り、材料封鎖、偽造品事故、公開査問。
次々と仕掛けられる妨害を、リナリアは契約書、帳簿、規格書、そして現場で積み上げた事実によって打ち砕いていく。
これは、婚約破棄された辺境令嬢が、廃工房を王国一の「止まらない」魔導具工房へ再建し、王都の搾取構造をひっくり返す、ものづくり逆転ファンタジー。