あらすじ
鑑定士レイン・アーシュは、勇者パーティから「戦闘の役に立たない」と追放された。
辺境の街ラステイルに流れ着いた彼がしたことは、たった一つ。
ギルドの食堂で隣に座った老人の世間話を聞いて、ついでに鑑定して、ついでに一言アドバイスしたこと。
「その杖、もう寿命です。あと三日で柄が折れますよ」
——それだけだったのに、なぜか「未来を見通す賢者様」と呼ばれるようになった。
「いや、鑑定しただけなんですけど」
レインの言葉は誰にも届かない。
ギルドの問題児たちは、今日も「レインさんに聞けば何とかなる」と彼の元に押しかけてくる。
困りながらも、誰かの話を聞かずにはいられないレインと、
彼を取り巻くお節介で温かいギルドの仲間たち。
これは、世界を救う物語ではなく——
ただの鑑定士が、誰かの隣に座り続けることで、いつのまにか伝説になっていく物語。