あらすじ

異世界に転生する話ではない。 異世界人のほうが、現代日本に落ちてくる話だ。 外注通訳官の黒瀬が働くのは、異世界から流入した人々を一時保護する連絡室。 仕事はシンプルだ。 言葉の通じない異世界人と、警察と、医療班と、行政と、たまに温水洗浄トイレのあいだに立って、全部なんとかする。 聖女は、温水洗浄トイレに敗北。 女騎士は非常口マップを見て「この建物、人を逃がす気はあるが、動線が悪い」と真顔で言う。 少年は自販機でジュースを買うたびに「これは正当な等価交換です」と確認する。 現代側の「名前を教えてください」は、異世界では魂を縛る契約かもしれない。 「保護します」は、恩義という名の鎖になるかもしれない。 「危険度分類」は、人間に値札を貼る行為になるかもしれない。 異世界人は侵略者ではない。 ただ、崩れかけた世界から、助けを求めて落ちてきただけだ。 誤訳で戦争を始めないために、黒瀬は今日も言葉の裏にある意味を拾う。 外注通訳官の仕事としては、かなり割に合わない。 でも、誰かがやらなきゃいけない。

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カクヨム
カクヨム2026/06/30
  • 現在の作品異世界人保護の現場です。なお、こちらが異世界に行く話ではありません