あらすじ
「君との婚約を破棄する。光の聖女が現れた今、油の匂いのする君に用はない」
夜会の煌びやかなシャンデリアの下、第二王子から告げられた婚約破棄。けれど侯爵令嬢ティナは泣くことも、すがることもしなかった。それどころか優雅に一礼し、「では、侯爵家も婚約も辞めさせていただきます」と微笑んで去っていく。
実は彼女の前世は、町工場で精密ランプを作っていた女・灯子。教会が独占販売する「聖光ランプ」が三日で消える欠陥品(しかも意図的)であることを、彼女は一目で見抜いていた。
芯の改良、魔石の燃焼制御、熱で割れないガラスの炎室――前世の技術を注ぎ込んだ彼女のランプは、価格は十分の一、それでいて一年灯り続ける。城下町の片隅に開いた『ともしび工房』。最初は客が来なかったが、冒険者ギルドの受付嬢リタとの出会いをきっかけに、その「消えない灯り」は人々の暮らしを照らし始める。
光は奇跡じゃない。仕事だ。
スキルでも魔法でもない、ただの『技術』を武器に、町工場の娘が国の夜を教会の独占から取り戻す。暗闇を怖がるすべての子供たちのために――。
痛快・自立系お仕事ファンタジー、開幕!