あらすじ
アルディア大陸に存在するアストリア王国。勇者アレンのパーティーに鑑定士として加わっていた青年・レイン・アーク(22歳)は、ある日、国王レオンハルト三世から「役立たず」の烙印を押され、パーティー除名と王都追放を言い渡される。
しかしレインには、誰にも明かしていない秘密のスキルがあった。それは「神眼鑑定」――ものの現在価値だけでなく、隠された才能、将来の市場価格、覚醒可能性、果ては世界への影響まで見通すことができる、唯一無二の異能である。
錆びた剣が聖剣へと進化する未来も、雑草が万能薬の素材になる未来も、孤児の少年が英雄になる未来も、レインの目にはすべて見えていた。そして、追放されたこの王国がたった十七ヶ月後に滅びることも。
怒りより合理を選ぶレインは、誰も見向きもしないアーレント辺境へと向かう。今は荒れ地でも、十年後には大陸有数の都市になる――彼の目にはそう映っていたからだ。
辺境の地で、レインは未来商会を立ち上げる。奴隷商人のもとで才能を埋もれさせていた狐獣人の商人・ミーナ、王国崩壊後に行き場を失った元王女・セリア、魔道具の研究に人生を捧げるエルフの技師・エルナ――"今"の世界から弾き出された者たちが、レインのもとに集まっていく。
誰もが捨てたものの中に無限の価値を見出し、鉱石、武器、農業、薬、魔道具、銀行と事業を拡大しながら、商会はやがて街へ、領地へ、都市国家へと成長していく。
一方、かつてレインを追放した勇者パーティーは、装備不足と判断ミスが重なり強敵に敗れ、助けを求めて未来商会の門を叩く。だがレインはその依頼を断り、王国はやがて崩壊の道を辿る。
そして物語の果てに待つのは、魔王ではない。千年周期で訪れる世界崩壊現象――世界そのものが敵となるとき、神眼鑑定はさらなる進化を遂げ、レインは世界の未来そのものを鑑定し、書き換えようとする。
「価値あるものを、正しく評価する」
追放された鑑定士が、誰よりも遠い未来を見据えながら、新たな国家を、新たな世界を築いていく成り上がりの物語。