あらすじ
西暦二四八九年、人類は時間技術を確立し、過去史の観測と修正を行う「歴史保全部」を設立していた。だが、過去はただの記録ではなかった。
観測される歴史の中で、ひとつの異常点がすべての文明分岐の起点として浮かび上がる。
天正十年、京都・本能寺。
織田信長の死を発端に、世界史は幾千にも枝分かれし、人類文明は滅亡と繁栄を繰り返す異常構造へと変貌していた。
その原因を修正するため派遣された歴史保全部の観測官・九条アラタは、現地時間への介入任務に就く。
だがそこで彼が目にしたのは、単なる歴史事件ではなかった。
「明智光秀による裏切り」とされてきた本能寺の変には、すでに“本来の光秀ではない存在”の影があった。
さらに、信長の死そのものさえ、ひとつの可能性に過ぎないことが判明していく。
未来からの介入者。
書き換えられる歴史。
そして、何度でも繰り返される“信長という異常点”。
やがてアラタは知ることになる。
本能寺の変とは、終わりではない。
それは、世界を選び直すための“分岐装置”に過ぎなかったのだと。
歴史は壊れない。
ただ、増え続ける。