あらすじ
匿名掲示板を眺めていたとき、ありふれたタイトルの投稿が目に入った。
「もし、あなたのパートナーが突然寝たきりになって、一生介護が必要になったら、面倒を見られますか?」
その下にあった一つの回答を読んだ瞬間、僕の指は止まった。
「見られますよ。だって、それが今の私の楽しみなんです。夫は自分が本当に麻痺し始めていると思っていますけど、実は私が毎晩ホットミルクに少しずつ混ぜているんです。罪悪感から、夫は高額な生命保険の受取人を私に変更してくれました。完全に動けなくなったら、あとはちょっとした事故に見せかければいい。誰にも疑われませんよ。今、介護しているのは病人じゃありません。これから先、一生困らずに暮らすための切符です。そう思えば、少しもつらくありません」
僕はその数行を見つめたまま、指先が冷たくなっていくのを感じた。
すぐにそのアカウントのページを開いた。いったいどんな人間なら、夫を殺そうとしていることを日常の愚痴みたいに書けるのか、確かめたかった。
けれど、そこで見つけたものは、僕の想像をはるかに超えていた。
その投稿で夫への加害を誇らしげに語っていた人物は、僕の妻だった。
そして僕は、毎晩その妻が差し出すホットミルクを飲んでいた。