あらすじ
王都の貴族家から追放されたレオン・アルディスは、内心かなり喜んでいた。
これで面倒な社交も、兄たちの派閥争いも、貴族らしい作法も終わり。
これからは辺境の小屋で、井戸から水をくみ、薪を割り、畑を耕し、薬草を採る。
不便だけど静かなスローライフが始まる――はずだった。
しかし、たどり着いた辺境村の入口には、巨大な総合商館《グランモール》が建っていた。
食料品売り場、農具売り場、薬草、工具、フードコート、湯屋、冒険者用品、ポイントカード、半額シール、試食、返品カウンター。
辺境なのに、生活面では王都より便利。
しかも支配人ミリアは、レオンの「不便に暮らしたい」という願いすら商品化しようとする。
食料品売り場のルナは、食べ物の気持ちを代弁してくる。
元聖女フィナは、半額シールを祝福と呼ぶ。
村娘ポルカは、ポイント残高を魂と呼ぶ。
開発者セリカは、レオンの不便を見つけるたびに「不便なの?」と聞いて改善道具を作ってくる。
そして謎のマスコット・モルルンは、今日も悪魔のように販促する。
「俺は辺境に来たんだ。大型店舗に来たんじゃない」
便利すぎる辺境で、どうにか不便に暮らしたい男の、スローライフ崩壊コメディ。