あらすじ
2030年代、近未来・東京。マイナンバーの全面統合とデジタル住民基盤の完成により、日本は「誰もが管理された、透明で安全な社会」になった。――はずだった。
だが、完璧な制度の完成は同時に、そこから零れ落ちた人間を、文字通り存在しないものとして世界から抹消する機能をも手に入れてしまう。
住所不定、戸籍喪失、DV被害者の意図的な抹消申請。
社会に記録されない人間が、物理的にも他者の知覚から外れていく怪異――通称『フェードアウト症候群』。
「あなたが見えていないのは、社会があなたを見ていないからだ」
デジタル管理庁の外局として極秘裏に設立された『戸籍外対策室』、通称――ムコウ。
元区役所の非正規職員で、書類の欠落が視える青年・夜見律(よみ りつ)と、国家にキャリアを消された不屈の元ライター・碓氷結(うすい ゆい)は、バディを組み、都市の死角に消えゆく人々を追う。
だがそれは、日本社会の深部に巣食う、あまりにも不条理な巨大な闇との戦いの始まりだった。