あらすじ

​怪物は死んだ。しかし、その絶命の残響は新たな怪物を産む。

大久保長安、駿府にて病死。実子は全員切腹。
遺体は掘り起こされ、安倍川の河原で首を晒された。
​慶長末期。公儀の総目付・柳生但馬守宗矩は、大大名をも凌ぐ権勢を誇った怪物の足跡を、天下の台帳から完璧に「漂白」したはずだった。
​だが、主を失ったはずの職能たちは、むしろ主が死んだからこそ、なりふり構わずその仕組みを私物化し、勝手に動き始める。
​神の声を騙り、闇の連絡網をその足で繋ぐ歩き巫女。
梁の軋みを聞く算術家と、泥の深さを読む山師。
荷重の均衡を脳裏に叩き込み、闇の流通を担う荷役屋。
故郷の嘘の文字に縋る異邦人と、人間の人格すら偽造する書類屋。
​公儀の目の届かない地下の配管で、歪みは滑らかに繋がり始めていた。
​「……まだ、閉じておらぬか」
​網の目を追う宗矩が、柳生の最深部に眠る「もう一人の怪物」の気配に気づいたとき、世界の骨組みが微かに軋む音を立てた。
​これは、本尊なき世界で蠢く、職能の怪物たちの自律分散型ノワール。
​──世界のあちこちに、あの怪物の『残響』だけが、まだ響いている。

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アルファポリス
アルファポリス2026/06/28
  • 現在の作品怪物の残響 - CHOAN LEGACY SYSTEM -