あらすじ
王都で婚約破棄され、社交界の笑い者になった元侯爵令息レオン。
冷血、無能、婚約者を泣かせた男。
そう呼ばれて家からも切り捨てられた彼を、辺境伯令嬢アメリアは雪道で見つける。
彼が胸に抱えて守っていたのは、フォルクハルト辺境領の古い備蓄台帳だった。
アメリアは彼を「可哀想だから」助けたのではない。
帳簿を守って倒れていた彼に、辺境を冬越しさせるための力を見たのだ。
レオンは愛を語るのが下手なだけで、帳簿を読み、備蓄を数え、人を飢えさせない仕事ができる男だった。
さらにアメリアは、王都で「役立たず」と捨てられた人々を辺境で再任用していく。
声が小さい記録係。
魔力が弱い魔導具職人。
足を負傷した元騎士。
王都では欠点とされたものが、辺境では命を救う力になる。
やがて大吹雪が三つの村を孤立させ、さらに王都の使者が備蓄と暖房具を奪いに来る。
だが王都はまだ知らない。
自分たちが価値を見なかった人たちこそが、この辺境の冬を暖かくするのだと。