あらすじ

気候崩壊後の未来。 人類は国境を失い、北緯五十度以北に築かれた共同圏で、AIによる管理のもと生きていた。 水も、空気も、食料も、移動も、記憶さえも、すべては安全と効率のために整理されていく。 中核セクターで暮らす少年カナタは、二十二度に保たれた教室で、旧国家の廃墟に残された言葉を見る。 「ここは私たちの国だった」 それは、認知症の進んだ祖母リオが、夜ごと繰り返していた言葉と同じだった。 祖母の部屋に隠されていたのは、今はもう存在しない国のパスポート、古い写真、そして故郷の土と種。 未認証有機物として廃棄されるはずのそれを守るため、カナタは都市の地下へ向かう。 そこで出会うのは、管理側の理屈を知る技師ミナセ。 そして、外縁区で生きる少女サナ。 失われた国。 捨てられる記憶。 忘れることで守られる生活。 それでも、忘れたくないものがある。 国境が消えた未来で、少年は消された故郷の記憶を届けようとする。 これは、線を消す物語ではない。 見えない線の向こうにいる誰かへ、記憶を届ける物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/28
  • 現在の作品NO BORDER EARTH― 北緯五十度の共同圏 ―