あらすじ
本稿は、私がジョン・タイター氏に関連するアーカイブを閲覧していた際に偶然発見した、ロシア語文書の和訳である。
ファイルはおよそ百ページほどの分量を持ち、表題、前文、各章の見出し、語彙表、簡単な例文から構成されていた。内容は、ある未知の大陸で使用されているとされる言語、すなわち「第一大陸共通語」についての文法解説である。
原文の著者は、D・A・ザイツェフと署名している。文中の記述によれば、彼はソヴィエト連邦第102艦隊に所属する言語学者、あるいは少なくともその関係者であったらしい。文書の日付は2077年6月23日とされている。
言うまでもなく、現在は2026年である。また、我々の知る歴史において、ソヴィエト連邦は1991年に崩壊している。少なくとも我々の時代の延長線上に、2077年のソヴィエト連邦第102艦隊なる組織が存在するとは考えにくい。
したがって、この文書をそのまま歴史的事実として扱うことはできない。ジョン・タイター氏に関する資料そのものが、そもそも真実と虚構の境界にあるものであり、本稿もまた、その曖昧な領域に属する資料の一つとして読むべきであろう。
しかし、そこに記されている言語体系は奇妙に一貫しており、単なる悪戯や流行りのAIにより自動生成された文章として片づけるには、いささか手が込みすぎているようにも思われた。
そのため私は、この文書を可能な限り原文の構成に従って翻訳することにした。ただし、ロシア語原文の表題および前文については、資料としての性格を残すため、原文を併記する。以降の本文については、読者の便宜を考え、日本語訳を中心に掲載する。
訳文中には、原文の硬さ、不自然さ、政治的な言い回しを意図的に残した箇所がある。これは、当該文書が単なる文法書ではなく、未知の土地における調査、接触、統治のために作成された実用文書であると思われるためである。
※実在の組織や国家とは関係ありません。本稿はフィクションです。本稿は拙作「ソヴィエツキ―・ミールと宇宙ともふもふ猫獣人とAR15」(https://kakuyomu.jp/works/2912051602318785943)における現地語の読解の為の教本です。
※ロシア語文法のチェックと本言語の文法資料をまとめる際、ChatGPTを利用しています。