あらすじ
「お願い、ギルバート。どこでもいい、私をさらって。何も決めなくていい、あなたのお人形にして……!」
魔王領への進軍ルートをめぐり、身勝手な責任をなすりつけ合う勇者たち。 過度の精神的負荷から、呼吸の仕方さえ忘れて崩れ落ちる聖女リュミエリの身体を、 誰よりも早く、鉄の腕で抱きすくめたのは、無口な盾騎士ギルバートだった。
「……リュミエリ様。もう、主役など、お辞めになりたいですか?」
深夜、小さなトランク一つで逃亡を試みる少女に、彼は底知れない独占欲を孕んだ提案をする。 それは、世界を救う義務、自ら「決定する」という呪いから、彼女を完全に解放する【お人形の契約】だった。
砦を襲う自作自演の炎。物理的に身体を封じる極厚毛布。 たどり着いたのは、窓もなく、音さえも壁のシルクに吸い取られる、純白の地下迷宮。 「靴下を自分で履くことは万死に値する苦行です」と大真面目にナイフを取り出す、ギルバートの過保護メーターの暴走。 スプーンを握る指骨の疲労を懸念され、濃厚なカボチャのポタージュを「あーん」で与えられる日々。 移動はすべて「自動だっこ」。右の足から歩くか、左から歩くかさえ、彼が決める。
自由という名の地獄から、不自由という名の至高の天国へ。
【こんな方におすすめです】
• 日常の決断や社会的責任に疲れ、ただ誰かに「すべてを委ねたい」と思っている方
• 無自覚に搾取されていた主人公が、静かに、徹底的に元凶たちを切り捨てるカタルシスが好きな方
• 執着心の強すぎる守護騎士による、ちょっとズレた、しかし本気度100%の狂おしい甘やかしを堪能したい方
「世界は、あちらで勝手に滅びます。あなたはただ、私の籠の中で眠りなさい」
社会的地位を失い崩壊していく勇者たちを覗き窓から静観し、彼女は自ら、その破滅のスイッチを彼と共に押し下げる。
「わからないわ。あなたが、すべて決めてちょうだい」
意思なき人形となった少女が手に入れた、果てしない闇のような幸福の物語。