あらすじ
平凡な従者セレンは、幼馴染の天才魔術師イグニスを影から愛し、献身的に支え続けてきた。
しかし傲慢なイグニスはセレンをただの雑用係として見下し、新たな婚約者を迎えて彼を冷酷に追放してしまう。
すべてを失い王都の片隅で生きていたセレンだが、ある日イグニスが術式の暴走で「死の呪い」を受けたことを知る。
セレンは自らの命に等しい「記憶と感情」を代償に呪いを肩代わりし、心を持たない空っぽの人形となってしまった。
目を覚まし、己の愚かさとセレンの献身を知ったイグニスは凄絶な後悔に苛まれる。
失われた心は二度と戻らない。
絶望の底で狂気に堕ちたイグニスは、婚約者を切り捨て、地位も名誉もすべて投げ打ち、セレンを北の辺境にある塔へと監禁する。
「お前は私だけのものだ。永遠にこの箱庭に閉じ込めておく」
感情を失ったセレンは主人の言葉をただ機械的に受け入れ、美しい模造品の微笑みを返すだけ。
交わることのない感情。けれど決して離れることのない二人。
これは、空っぽの器と狂気の魔術師が織りなす、永遠に終わらない美しきメリーバッドエンド。