あらすじ
大学に通いながら書店でアルバイトをする湊は、ある日、一人の中年女性客が毎回自分のレジを選び、自分の勤務時間に合わせて来店していることに気づく。店長や周囲は「常連客」「接客がうまいから」と笑って受け流し、相談しても「気にしすぎ」「接客業なんだから」と取り合ってくれない。
触れられたわけでも、暴言を吐かれたわけでもない。それでも、自分だけに向けられる執着じみた視線や、一方的に距離を縮めようとする言動は、湊の心を少しずつ蝕んでいく。しかし、その恐怖を口にすれば「モテ話」や「自慢」と受け取られてしまうかもしれないという思いから、誰にも本当の苦しさを打ち明けられない。