あらすじ
「君の陰気なハープの音色より、セレナの明るい歌声の方が王宮に相応しい」――四十九回目の公衆の面前での侮辱。それは、私がずっと待ち望んでいた『解放』の瞬間だった。
公爵令嬢リラ・フォンターナは、魅了魔法に操られた婚約者・アルベルト殿下から三年間、数えきれない屈辱を受け続けてきた。窓辺でひっそりとハープを奏でる『可哀想な令嬢』を演じながら、この日を待っていたのだ。
婚約破棄を告げられ、堂々と指輪を返したその時――大広間に現れたのは、隣国ヴェルディアス帝国の若き皇帝。
「――見つけた」
彼が探していたのは、十年前、遭難した幼い自分を救った『月の調べ姫』。その正体が、今まさに婚約破棄されたリラだと知った皇帝は、彼女に手を差し伸べる。
窓辺に閉じ込められていたハープの音色が、ようやく世界へ羽ばたく時が来た。
これは、四十九回の無礼に耐え抜いた令嬢が、本当の居場所を見つけるまでの物語。