あらすじ
新潟の冬、雪深い街で古書店「水湊(みなと)文庫」を営む湊。ある日、かつて店で放課後を過ごした少女・栞が、東京から十年ぶりに店を訪れる。
匿名作家として活動する栞は、新作の執筆に行き詰まり、物語の結末を見失っていた。彼女が再びこの場所へ戻ってきたのは、かつてこの街に置いてきてしまった自分の心と、執筆の情熱の正体を確かめるためだった。
再会した二人は、かつて共有していた思い出のノートを囲み、静かな冬の夜を過ごす。やがて栞は、自分が本当に書きたかった物語が、この街で湊に向けた一途な想いそのものであったことに気づく。
雪解けの季節を迎え、閉ざされていた時間は動き出す。互いの想いを言葉にした二人は、古書店の片隅で、二人だけの新しい物語を書き始めるのだった。