あらすじ

リディアは、ずっと自分を後回しにしてきた。 王太子の婚約者として。 王宮魔導具局の付与師として。 誰かの面目を守るために働いてきた。 けれど舞踏会の夜。 彼女は無能と罵られ、婚約を破棄される。 その場で、リディアは退職届を差し出した。 王宮の灯りは、なぜか静かに止まる。 厨房の湯は、ぬるま湯になる。 彼女の仕事だけが、消えずに残っていた。 辺境公爵セドリックは、彼女に契約書を差し出す。 そこには、休む時間まで書かれていた。 リディアは初めて、自分の手を守られる。 だが、王宮は彼女を手放さない。 使った覚えのない魔力印が現れる。 善意の名で、危うい魔導具が配られようとする。 リディアは怒鳴らない。 泣き寝入りもしない。 紙と印と記録で、自分の名前を取り戻していく。 彼女の付与は、誰のものなのか。 彼女の時間は、誰のためにあるのか。 その問いが、止まった王宮の灯りを揺らす。 そして、定時の鐘が鳴る場所で。 リディアはもう一度、自分の仕事を選び始める。 彼女の印が照らす本当の居場所は、どこにあるのだろう。

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小説を読もう2026/06/28
  • 現在の作品無能と捨てられた付与師、退職したら王宮が止まりました