あらすじ
五つの大国によって均衡が保たれた世界
虎・龍・兎・牛・蛇、それぞれの国は異なる力と理念を持ち、長い間、均衡の上に成り立っていた。
その中心に立つのは、虎の国の王・伊吹。
彼は「戦争のない世界」を掲げ、世界統一を進める絶対的支配者だった。
だがその理想は、平和というよりも“支配による安定”に近いものへと変質していく。
やがて世界は、静かな恐怖によって統一へと向かい始めていた。
その世界には、決して存在してはならない力があった。
“闇”。
それは光の秩序を壊す禁忌として、歴史から消されたはずの力だった。
山脈の奥で、一人逃げ続ける少年・しゅう。
彼は自分の力の正体も知らず、ただ「何かに追われている」という事実だけを抱えて生きていた。
虎の国の兵に追われる中、しゅうは白衣の男・さいじに救われる。
そして初めて、自らの中に眠る“闇”という異質な力と、その存在が世界から禁忌とされる理由の断片を知ることになる。
光が秩序を作り、世界を支配する中で、
闇はただ存在するだけで“世界の歪み”とされる。
やがて少年は知ることになる。
自分が世界の理から外れた存在であることを。
そしてこの世界が、すでに一人の王によって
静かに“統一”へと進められていることを。