あらすじ
人生に絶望した前野賢治は、人知れず命を絶とうと底なし沼へ足を踏み入れる。
しかし、目を覚ますとそこは「落とし物センター」と名乗る奇妙な場所だった。
受付係の黒井と名乗る男は、淡々と賢治の落とし物を返し始める。
コンビニで持ち帰ってしまったビニール傘。
返せなかったゲームソフト。
捨てたはずの野球グローブ。
返されるたびに蘇るのは、忘れたかった過去と、取りこぼしてきた人生だった。
やがて賢治は、自分が本当に失くしたものの正体を知る。
これは、底なし沼の底で開かれる、少しシュールで、少し切ない「落とし物返却」の物語。