あらすじ
この世界には幾人かの魔女が存在する。
神にまつわる名を持ち、それぞれが司るものに関係する魔法を思うままに操る魔女たちは、一心同体とも言える使い魔と共に、永遠の時を生きるとされていた。
「──お前は心の底から『死』を望むか?」
ベルティーナ・デラ・エルーシア。植物を司る魔女である彼女に、使い魔のリヒトは問う。
「ええ。だからわたくしはその方法を探しているのでしょう」
何度目かの問いだった。それでも魔女でありながら死ぬ方法を知りたがるベルティーナは、おっとりと首を傾げて答える。
ベルティーナが『死』を望む理由はかつて同じ時を過ごした親友を失い、『もう彼女がいた頃ほど楽しい日々を送ることはできないだろうから』である。ただそれだけの理由で、ベルティーナは終焉を探す。逆に言えば、かつての親友はそれだけ大きな存在であった。
しかしどれだけ魔女が死ぬ方法を探しても、研究しても、それらしい情報のひとつも見つからない。もどかしい思いの中、それでもベルティーナは諦めずに調べ続ける。
そんな日々が続いたある日、ベルティーナが出会ったのはかつての親友によく似た少女。
彼女がかつての親友の代わりになるとは思っていない。それでもどうしてか、その少女から目を離すことはできなかった。共に過ごす時間が増えるほど、かつての親友を思い出し──そしてもう二度とあのような思いをしたくはない、と目の前の少女と己の感情から目を逸らす。
──これは魔女でありながら一度は『死』を望んだベルティーナが、かつての親友に似た少女に出会い、自身の幸福を掴むまでの物語。
『×××が、冥府の番人に願ってやるよ』
──そして魔女と使い魔を不老不死にした、とある存在の『娯楽』のお話。