あらすじ
天樹院侯爵家の澄華は、社交界で帝都の白百合と称えられる令嬢であった。
しかし、その仮面の下にある素顔は、機械油に汚れながら地下工房で歯車を回す、天才的な蒸気技師でもあった。
彼女はかつて怪異災害で兄を亡くした悲劇を糧に、守られるだけの令嬢ではなく、人を守れる力を求めて、禁断の技術を研究した。
その集大成が、蒸気圧と呪符回路を融合させた硝子製の自律機巧──硝子式神「玻璃」であった。
ある日、帝都を揺るがす蒸気博覧会で、暴走事故が発生。
澄華は淑女の立場を捨てて現場へと駆け出し、そこで冷徹な美貌を持つ陰陽師、九条朔也と出会う。
朔也はひと目で澄華が令嬢らしからぬ技術を持っていることを見抜き、二人は帝都で頻発する怪異の真相を探る共同戦線を張ることとなった。
調査を進める中で、澄華は残酷な真実を知る。
兄の死は事故ではなく、国家霊導計画の実験犠牲であったこと。そして、自分の家系そのものが、人を炉心にする非人道的な国家兵装《黄泉機関》の完成に加担していたということを。
澄華自身もまた、その機関を起動させるための鍵、硝子の皇女として育てられていたのであった。
父・景親によって工房を封鎖され、政略結婚という名の檻に閉じ込められそうになる澄華。
しかし、彼女はドレスを自ら引き裂き、自らを閉じ込める檻を壊すことを決意。
朔也の助力を得て脱出した彼女は、心を通わせ始めた玻璃と共に、帝都崩壊を目論む黄泉機関の暴走を止めるために戦うのであった。