あらすじ
「あなたは、ただ薬を“混ぜていただけ”でしょう?」
――姉にそう笑われ、私は父の手で、呪われた辺境へ“一年契約の花嫁”として売られた。おかしいわね。王都中が絶賛したお姉様の薬、その全部を調合していたのは、影武者だった私なのに。
公爵家の双子の妹クロエは、姉ヴィオラの“影”として生きてきた。
「天才錬金術師」と称えられる姉の薬は、すべてクロエが素材の声を聴いて組み上げた本物。だが姉が王宮に召し抱えられた夜、用済みとばかりに呪われた土地・辺境ヴェルンフェルトへ厄介払いされる。そこで出会ったのは、誰も解けぬ呪いに蝕まれた若き辺境伯。歴代の宮廷錬金術師が匙を投げた彼の呪いに、クロエの一服だけが、初めて効いた。一方その頃、本物の調合を失った姉の薬は、次々と“効かなくなって”いた――。