あらすじ
俺は大穴牟遅。八十人の兄がいて、俺は全員分の荷物を持って歩いている。求婚の旅に行くのに、俺に求婚する権利はない。両手が塞がっているから。
しかし——因幡の姫は俺を選んだ。兄たちは全員断られた。怒った兄たちに殺された。焼けた岩で。蘇った。また殺された。木に挟まれて。また蘇った。
二度死んで目が変わった。母に言われた。「もうここにいてはいけない」
地の底に逃げた。真っ暗な世界で、嵐の神の娘に出会った。真っ白な肌で、暗闘で光る藍色の目で、初対面で「あなたと契りを交わしたい」と言ってきた。
順番がおかしい。名乗る前に契りの話をする姫は初めてだ。
蛇の部屋で眠らされた。蜂の部屋に閉じ込められた。炎で焼かれた。全部乗り越えたら名前をもらった。「大国主」と。
地上に戻って、国を作り始めた。三人の女を愛した。仲間を得て、仲間を失った。そして高天原が言ってきた。「国を渡せ」。
——渡す。守れている間に。しかしその前に、最後の戦争をさせてもらう。