あらすじ
「君には可愛げがない」
そう言って婚約者ウォーラスに崖から突き落とされた侯爵令嬢マライア。
彼は「真実の愛」と結ばれるため、そして自身の密輸港計画を隠すため、マライアを海に沈めようとしたのだ。
重いドレスに引きずられ、冷たい海の底へ沈みかけた彼女を救ったのは、海辺の村で暮らす海女の少女ナタリーだった。
ナタリーに命を拾われたマライアは、彼女の愛する村と海が、ウォーラスたちの欲のために奪われようとしていることを知る。
ならば、ただ実家へ逃げ帰るわけにはいかない。
可愛げがないと捨てられた令嬢は、命の恩人が笑って暮らせる海を守るため、証拠を集め、家族と幼馴染の力を借りて、婚約者の罪を白日の下に晒す。
けれどマライアが最後に選んだ恩返しは、ナタリーを貴族にすることではなかった。
あの子が海の少女のまま笑っていられるように。
マライアは、自分を救ってくれた小さな手と、その手が帰る海を守ると誓う。