あらすじ

平成の夏、コミックマーケットの片隅で一冊の同人誌が売られた。 タイトルは『九頭竜』。作者はトオルという学生だった。 それを読んだ者は、例外なく瞳を失う。 人間の姿を保ちながら、人ではなくなる。 国は秘密の収容施設を建造し、被害者を隔離した。 しかし、原本は忽然と消失し、コピーさえも同じ現象を引き起こした。 トオルは失踪した。 家族が知らない「彼女たち」――虚空にしか姿を見せない、美しく永遠の女性たちが、彼の傍らにいた。 彼女たちの声だけが響き、トオルを支え、九頭竜の創作を加速させた。 霊能力者は発狂死し、高野山を中心とした結界が張られた。 トオルの血は扉を閉じ、だが令和に入り、新たな門が開き始めた。 九頭竜は、ただの呪いの本ではない。 それは門であり、鍵であり、トオルという存在を解き放つための触媒だった。 トオルは既に「その先」へ至り、世界中に散らばった自身の絵画を介して、再び姿を現す。 瞳を失う者、虚空に語りかける影、旧支配者たちの影。 四億年前から決められた運命が、今、動き始めている。 読む者は、決して油断してはならない。 この物語は、あなたの瞳をも蝕むかもしれない――。

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カクヨム
カクヨム2026/06/27
  • 現在の作品九頭竜(クトゥルフ)に至る集団報告