あらすじ
地元テレビ局の青春バラエティ企画が、黒瀬湊の通う高校にやって来た。
内容は、屋上から全校生徒に向かって想いを叫ぶというもの。
部活の決意表明。
友達への感謝。
先生への不満。
そして、たまに告白。
そんな陽キャ向け公開処刑イベントに、地味で目立たない黒瀬湊は一切関係ないはずだった。
しかし、クラスの中心男子たちの悪ノリで、湊は学年一のギャル・若槻玲奈に屋上から告白させられることになる。
もちろん本気ではない。
ただの罰ゲーム。
テレビ的に「地味男子が学年一のギャルに告白して玉砕する絵」が欲しかっただけ。
湊は逃げたかった。
けれど、テレビスタッフも、担任も、クラスメイトも、全員が「やってくれるよな」という空気で待っている。
断る自由は、形だけ置かれていた。
そして昼休み。
全校生徒とテレビカメラの前で、湊は屋上から叫ぶ。
「若槻さんのことが好きです。付き合ってください」
断られて終わるはずだった。
湊が笑い者になって、それで済むはずだった。
だが、校庭にいた玲奈は、真っ赤な顔でこう返した。
「いいよ! 私でよければ、お願いします!」
全校大歓声。
司会は「カップル成立」と叫び、カメラは二人を追いかける。
嘘告は、なぜか成功してしまった。
しかも湊は、今さら「罰ゲームでした」と言えない。
ここで本当のことを言えば、今度は玲奈が全校とテレビの前で笑い者になるからだ。
放課後、湊は玲奈に謝ろうとする。
すると彼女は、困ったように笑って言った。
「やっぱり、あれ嘘だった?」
彼女は気づいていた。
それでもOKした。
断れば湊が公開処刑されると思ったから。
そして、自分もまた「笑って断るギャル役」をやらされかけていたから。
嘘で始まった告白。
テレビに作られた全校公認カップル。
けれど、玲奈の返事だけは、なかったことにできなくて――。
これは、罰ゲームで告白させられた地味男子と、それを受けてしまったギャルが、公開処刑みたいな恋を少しずつ本物にしていく学園ラブコメ。