あらすじ
忘れられた神様の名前を、もう一度呼ぶ。
小春市で相次ぐ不審火。
燃え盛る炎の中に白い狐がいた――そんな噂が、動画とともに町中へ広がっていた。
小春西高校二年生の真堂輝は、遅刻常習犯で、怪異や妖怪の噂が大好きな少年。
ある日、勝手に図書委員へ任命された輝は、見えないものが見えると噂される少女・星川未空、銀髪の図書室管理人・玉城琥珀、そして幼なじみの葵城悠樹たちと関わることになる。
そんな中、楓川のほとりで、巫女装束を着た小さな少女が泣いていた。
少女の名前は、椛。
覚えているのは、自分の名前と「お兄ちゃんを探していた」ことだけ。
しかも未空は、彼女を見てこう告げる。
「この子、人間じゃないかもしれない」
輝と悠樹の二人暮らしに、椛が加わる。
食卓、学校、商店街、神社、焼けた御神木。
日常の中で少しずつ記憶を取り戻していく椛は、かつて小春市の楓川を守っていた、忘れられた土地神だった。
だが、町には別の思惑が動いていた。
人間に忘れられ、消えかけている神や妖怪たち。
恐怖によってしか存在を保てなくなった白銀の妖狐。
夜を忘れた人間を信じきれない古い神格。
彼らは小春市を神隠しの町へ変えようとする。
忘れられたものたちが、もう二度と消えないように。
神様を救うとは何か。
町を守るとは何か。
忘れられた存在は、恐怖で刻み直すしかないのか。
これは、忘れられた土地神を拾った少年たちが、町から消えかけた神様の名前をもう一度呼ぶ物語。