あらすじ
本作品は2025年に黒猫ミステリー賞に応募作品です。
力及ばず落選してしまったため、こちらにアーカイブとして投稿いたします。
(この作品は残酷描写を含みます)
あらすじ(ネタバレなし版)
美大志望の女子高生・鈴木日菜は、国立西洋美術館「モネの間」にいた。モネが好きというだけではない。そこには常に洋傘をさす金髪和服の女性がいた。
眺めているだけであったが、とあることをきっかけに同級生・瑞稀と共に件の女性・つばさと知り合うことになる。
学校に戻ると、同じく美術部であった瑞稀から「進学をする」と聞かされる。日菜にとって、瑞稀は越えられないセンスの塊で、劣等感と憤りに苛まれる。
親からも反対され、美大進学の道が揺らぎ始めた時、そこに美術館の女・つばさが現れる。
あらすじ
(ラストまでのネタバレを含む賞応募当時のもの)
美大志望の女子高生・鈴木日菜は、国立西洋美術館「モネの間」にいた。モネが好きというだけではない。そこには常に洋傘をさす金髪和服の女性がいた。話したことはないが、日菜はその女性に不思議なシンパシーを抱えていた。
そんな折、美術部の友人・原口瑞稀とともに西美に訪れ、ひょんなことから件の女性・つばさと知り合うことになる。
日菜は親から美大進学を反対されていた。一方、瑞稀は自分よりも絵が上手いのにもう絵を描かず公務員になるという。日菜はそれが許せなかった。
ある日、つばさと瑞稀が歩いているところを見て、それが爆発する。瑞稀とは喧嘩別れをして孤独になり、家出をした日菜に手を伸ばしたのはつばさだった。
夜道で泣く日菜の背をさすり、つばさは「いつかわたしをさすってね」と笑う。その日から、日菜は彼女のアトリエで修行に励むようになる。過酷な修行はやがて唯一の癒しであるつばさへの依存へ変わっていく。つばさは日菜の持つ不安を煽り、感性を褒め、肌を重ね、身も心も支配されていった。
つばさの知り合いで元女優の椿沙がオーナーのカフェで、日菜は不審なものを見かける。それは、椿沙がつけている装身具の似顔絵で、見覚えがある絵柄だった。
美大受験当日。日菜は瑞稀から貧困から高校中退で結婚したこと、つばさの紹介で椿沙と絵の仕事をしていたことを語る。そして謝罪と同時に、椿沙から肉体接触を迫られたことが語られる。
受験会場で、日菜は一筆も絵を描けない。受験後、予備校の知り合い・高橋から「自分はつばさの彼女だ」ということとつばさが呼んでいることを聞かされ、カフェへ向かう。
カフェに人はおらず、奥につばさを見つける。椿沙は笑いながら関係を持った女性の裸体写真を見せつけ、「瑞稀ちゃん……」と言いかけたところで日菜はマグカップを落とした。
流血。
「瑞稀を汚された」、「つばさに裏切られた」、「つばさを傷つけた」。焦り、キッチンへタオルを取りに行くと、そこには裸の包丁とタオルが置かれていた。
「これに包めば」と思った瞬間、日菜はその考えに支配され、気付いたらつばさを刺し殺してしまっていた。その死体を見て、「これは絵にできる」と一心不乱に絵を描く。描き終わった頃に椿沙と高橋がやってきて、つばさらは女子高生を狙う目的で結成された「互助会」のメンバーだったこと、そしてつばさの目的が「画家として挫折した自分が絵になり芸術になること」だったと知る。
整形外科であった高橋が全身麻酔をかけ、意識が落ちていく中で、日菜は瑞稀とつばさに抱いていた感情が愛だったことを悟る。
4年後。Kamakuraという画家がダークウェブでカルト的な人気になっていた。その信者の一人である美大志望の女子高生・未来は情報を元に接触を図る。しかし、出会うことはできない。気を落として西美でモネの絵を見ようとした時、そこに洋傘をさした黒髪和服の女がいた。