あらすじ
魔導科学都市《帝都エデン》を舞台に、眠たげなトラブルシューター・シグレが、死都東京と女帝支配の裏に隠された封印の罪へ迫る都市伝奇ファンタジー。
旧東京が死都と化し、神奈川全域が魔導科学都市圏として再編されてから、半世紀。
女帝ヌルの支配する都市国家《帝都エデン》は、魔導炉、結界、機械人形、女帝信仰、そして眠らない夜の光によって繁栄していた。
ホウジュ区で小さな雑貨店を営む青年シグレは、裏では魔導事件や怪異事件を処理するトラブルシューターとして知られている。
面倒くさがりで、眠たげで、お茶とこたつを愛する彼は、できれば今日も店番だけをしていたかった。
だが、帝都で相次ぐ怪事件は、ただの魔導犯罪ではなかった。
死都東京。
裁きの門。
ヨムルンガルド結界。
タルタロス。
闇の子。
そして、記録から消されたワルキューレ第九位ノイン。
事件を追ううちに、シグレは自分の魂に眠る“誰かの残響”へ近づいていく。
彼はシオンなのか。
ノインなのか。
それとも、ただのシグレなのか。
女帝ヌルは都市の秩序を守るために封印を維持し、魔女セーフィエルは失われた娘を救うためにその封印を破ろうとする。
どちらにも理由があり、どちらにも罪がある。
帝都エデンの繁栄は、ひとりの少女の犠牲の上に成り立っていた。
誰かの代用品ではなく、自分自身として生きるために。
眠たげな“帝都の天使”は、神の秩序と母の救済、そのどちらでもない第三の答えを選び取る。