あらすじ
「古典魔法? そんな時代遅れの授業に、もう予算は出せませんな」
王立魔法学院で古典詠唱科を教えていたユーリス・クロフトは、財務大臣と学院長の都合で、科ごと切り捨てられた。
いまの王国では、《大魔導基盤アルカナ》によって誰でも簡単に自動魔法を使える。
火を灯すのも、水を浄化するのも、治癒するのも、物流を動かすのも、短い起動句を唱えるだけ。
だから人々は、魔法の仕組みを学ばなくなった。
考えることを、やめてしまった。
だが、古典詠唱科の廃止と、保守教育者の証である《源紋板》の破壊により、アルカナは沈黙する。
魔灯は消え、治癒魔法は止まり、水道も物流も王都防衛も麻痺。
起動句を叫ぶだけのエリート魔術師たちは、火ひとつ灯せない。
そんな暗闇の中で、唯一まともに魔法を使えたのは――不要だと追放された古典魔法教師ユーリスと、彼が教えていた落ちこぼれの少女ミリアだった。
「火を出すことが魔法じゃない。何を照らすかを考えるんだ」
追放された教師が、落ちこぼれ、職人、聖女、兵士、市民たちに本当の魔法を教え直す。
一方、利権にしがみつく財務大臣たちは、止まった世界を権力で動かそうとして自滅していく。
これは、時代遅れと笑われた教師が、基礎を武器に王国を立て直す物語。
そして、便利さに溺れた国が、「考える力」を取り戻すまでの再教育ざまぁである。