あらすじ
承久三年、後鳥羽上皇、鎌倉討つべく挙兵す。
されど京の雅は、宇治川の刃に砕かれ、上皇は隠岐の島に流る。
島の岸辺、月を詠む。
「隠岐の海 月を見しかど 都の空を思へば涙こぼるる」――百首の歌、いずれも名篇と謳われる。
されど月は、歌合の盃も照らせば、戦場の屍も照らす。
これは、皮肉を詠んだ一冊の物語。
流るる船中、公卿らは連歌を興す。「月清し」に続けて、「血の跡」と。
五山の僧、漢詩に貴族を罵りつつ、幕府の米を受け取り、詩稿を疊の下に隠す。
護送の下吏、歇へば口ずさむ十七文字。「月清し 刃に血の跡 隠岐の秋」――上皇の千首より、侍にはこちらの方が「まし」と。
歌合の筆と、合戦の刃と。
どちらが、この乱世の真を詠めるか。
月草揺れる隠岐の岸に、筆を持つ者あり、刃を抜く者あり。
月はただ、雅も、荒唐無稽も、すべてを見てゐる。
※承久の乱を軸にした史実寄りの創作です。文中の和歌・漢詩・発句(十七文字)は、いずれも史実や中世の文体に拠っています。
※創作の補助として生成AIを利用しています(アイデア整理・推敲補助等)。本文の執筆主体は筆者です。