あらすじ

夏祭りの夜、彼と二人で歩いた。 手は空いていなかった。 だから、触れないで歩けた。 それだけのことだった、はずだった。 川へ下りる坂で、彼が手を差し出した。 つかむ手ではなかった。 ただ、そこに置いてある手だった。 花火が鳴るたびに、指が一本ずつ重なった。 小指。薬指。中指。 どちらが先かは、わからなかった。 彼の手のひらは、思っていたより熱かった。 全部終わったとき、来たのは解放でも後悔でもなかった。 草の種を、ゴミ箱に捨てられなかった。 机の上に置いた。 翌朝、カーテンの隙間から夏の光が入ってきた。 (約4,100字/全19ページ)

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エブリスタ2026/06/26
  • 現在の作品小指から、夏が終わった