あらすじ
死者の最期の一日を繰り返す《追憶迷宮》。
七つの都市は、そこから採れる《余命灯》によって、暖房、水道、結界、医療を維持していた。
十七歳のトウリは、眠り続ける妹の生命維持費を稼ぐため、最弱職と蔑まれる《代役師》として、高出力迷宮《花嫁の最終日》へ入る。
任されたのは荷運びと死体回収。
怪物となる花嫁を討ち取れば、都市の灯は守られる――はずだった。
だが、討伐対象の花嫁は、燃え落ちる梁から子供たちを守っていた。
そして配役表に存在しない少女セナは、トウリへ告げる。
「私、この街で百三十七回死んだの」
《代役師》は、死者が果たせなかった役を引き受け、その人生の続きを演じる職業。
死者の役へ入ることで、改竄された記録の奥にある真相へ近づける。迷宮を終わらせれば、死者が残した手業を一つ継承できる。
しかし、迷宮を終わらせるほど、都市の暖房も、水も、医療も止まっていく。
死者を救うことは、生者から明日を奪うことだった。
これは、他人の役ばかり背負ってきた少年と、役がなければ存在できない少女が、自分自身の明日を選ぶ物語。