あらすじ
大学の教室の窓から見える、巨大な霊園。再履修の退屈な授業中、「私」が心を奪われたその光景は、夜になると一変した。無数の墓石が、まるで灯りの一つも灯らない高層マンション群のように見えたのだ。 日々の授業や課題に追われ、心が休まる暇もない毎日。そんな日々の中、私は窓の外に広がる壮観な景色を見る。 夕暮れには愛された者たちが眠る温かな場所に、夜には静まり返った死者の街に。刻一刻と姿を変える霊園は、私の疲れた心に深く染み込んでいく。 帰り道、私の頭は死者たちのマンションのことでいっぱいだった。そして、ふと気づく。自分にとっての本当の休息は、人生の旅を終え、あのマンションに入居した時にしか訪れないのかもしれない、と。 生きることの憂鬱と、死がもたらすであろう安息。灯らない街を眺める「私」がたどり着く、静かな思索の物語。その心は、どこへ向かうのだろうか。