あらすじ
現代日本にダンジョンが出現して二十年。
探索者たちは、最新装備、攻略データ、火力ビルドを駆使し、ダンジョン攻略を巨大産業へと変えていた。
蓮見レイジ。通称、レイさん。
かつて支援職として名を知られた古参ヒーラーだが、今では第一線を退き、若い探索者たちからは「古い」「火力がない」「支援しかできない」と軽く見られている。
そんな中、二百四十人規模のトップクランが高難度ダンジョン攻略に挑む。
最新理論。
最新装備。
有名探索者。
万全の作戦。
だが、攻略は一瞬で崩壊した。
回復魔法が通らない。
蘇生札が反応しない。
撤退ゲートが閉じる。
前衛が潰れ、支援職が倒れ、トップクランは全滅寸前に追い込まれる。
誰もがパニックになる中、レイだけが気づく。
これは新型ダンジョンではない。
二十年前に廃れた、旧式ダンジョンの法則だ。
倒れた者を回復するな。
まだ立っている者を死なせるな。
敵を倒すためではなく、生きて帰るために支援を組み直せ。
時代遅れと笑われた古参ヒーラーの撤退支援が、壊滅寸前の戦場を変えていく。
死者は出る。
全員は救えない。
それでも、レイのいた支援線だけが異常な生存率を叩き出す。
事故後、探索者協会の会議で一つの名前が上がる。
「レイさん、か」
二十年前、探索者社会から消えたはずのヒーラーの名だった。
これは、誰も癒せなかったと自分を責める古参ヒーラーが、もう一度前線に呼び戻される物語。
火力ではない。
回復量でもない。
本物の支援職は、死ぬはずだった者の未来を変える。