あらすじ
「今日この場をもって、エリアーナ・フォン・ローゼンハイムとの婚約を破棄する」——華やかな婚約披露パーティーで、王太子は義妹を腕に抱きながら高らかに宣言した。「冷たい女」と蔑まれ、三年間で四十九回も約束を破られ続けた私。けれど泣き崩れるつもりなど毛頭ない。だってこの瞬間を、私はずっと待っていたのだから。私の手にある白磁のティーカップ——亡き母から受け継いだ「月華窯」の至宝。王家の戴冠式に欠かせないこの白磁を生み出せるのは、この世で私ただ一人。殿下も義妹も義母も、誰もその価値を知らない。「ただの食器」と嘲笑った彼女たちは、やがて気づくことになる。私を失うことが何を意味するのかを。婚約破棄? 結構なことですわ。これでようやく、自由になれる。凍てついた仮面の下で、密かに爪を研いでいた令嬢の逆転劇。本当の居場所と、本当に私を見てくれる人を見つけるまでの物語が、今始まる。