あらすじ
戦国の世。
若き蒲生氏郷は、まだ誰にも知られていない。
だが彼の眼は、すでに“美”と“戦”の線を見通していた。
書の線に宿る気配。
戦場の布陣に潜む意味。
人の心の揺れがつくる影。
氏郷はそれらを“言葉にせず”見抜く。
その才は、信長に見出され、秀吉に重用され、
やがて会津六十二万石へと至る。
しかし彼は、天下を望まない。
望むのは、天下を望む者の“そば”という位置。
美と武、静けさと政治、その狭間に立つ者としての道。
これは、
美をもって戦を組み立て、
静けさをもって権力の影を読み、
未完のまま散った英雄・蒲生氏郷の物語。
歴史の行間に潜む“線”を描く、
静かで深い戦国譚。