あらすじ
最強のおんな冒険者ナァタは、ひとりの少女を斬れなかった。
毒沼の底に邪神が棲むという。
その街では、冒険者は英雄ではなかった。谷底の毒沼に潜って資源を採り、死ねば装備ごと回収される消耗品だ。借金で縛り、二度と出さない。街の全員が邪神に平伏し、誰もそれを疑わない。
赤い髪のおんな冒険者ナァタは、朝から酒を飲み、ぼんやりした顔で城門をくぐった。唯一神以外には決して頭を下げない女。本気の時だけ酒が抜けて素面になるという異名を持つ、最強の剣士。
毒沼の奥へ向かうパーティに加わったナァタは、そこで一人の少女と出会う。親に売られ、主人に殴られ、荷物持ちとして使い潰される見習い冒険者エーリャ。「女性なのにすごい」と無邪気に言う少女に、ナァタは背を向けた。