あらすじ
灰と星と藍の狭間――カラム。
ここは、想いというヒトの残留思念がまだ息をしている場所。
生も死も、記憶も忘却も、すべてが並んで息をしている場所。
誰かの温もり、そして、残り香だけが、ゆっくりと漂っている。
白く降り積もった大灰原の中、しっかりと足に力を入れ、赤髪の少女は確かな歩みを進める。靴跡が、灰の上にくっきりと残る。
「……帰らなきゃ」
「でも……どこへ? わからない……」
赤髪の少女が無意識のうちに自然と発したその声は、いつの頃だったか、もはや記憶は定かではないが、その昔、魔女が何度も口にした言葉と何故かよく似ていた。まるでそれは、逃げられない過去からの蘇り。残酷なほどに胸が締めつけられる『アリア』からの宣戦布告のようだった。
『あんたが逃げることは一瞬だって赦されない』
ただそのまま、
『前を見続けろ』
——それが、それこそが、
このセカイに置ける『灰燼に帰した魔女うしろ』にとって出来ることの全てであった。