あらすじ
「――お前が死ぬことなど、俺が許さない」
肉体が崩れ落ちる不治の奇病「白灰病」。
名家である家族から汚点として見捨てられ、辺境の療養所へ追放された令嬢・クロエは、ただ静かに死が訪れることだけを望んでいた。
しかしある夜、彼女の前に現れた純血の吸血鬼の君主・ヴァルターによって、そのささやかな願いは無惨に打ち砕かれる。
彼女の虚ろな瞳に苛立った彼は、強引に彼女の首筋に牙を立て、自身の濃密な血と魔力を注ぎ込んだ。
死の淵から無理やりに引き摺り戻されたクロエは、彼から与えられる暴力的な熱なしでは、一日たりとも生きられない身体へと作り変えられてしまう。
人間としての尊厳を奪われ、最初は彼の傲慢な支配に絶望していたクロエ。
だが、彼から与えられる痛みを伴う快楽と、自分へ向けられる狂おしいほどの執着に触れるうち、空洞だった彼女の心に獰猛な「生への渇望」と「独占欲」が芽生え始め……。
やがて傲慢だった怪物は、一人の少女の瞬きに怯える奴隷へと変わり。
死を望んだ少女は、怪物を支配する美しい女神へと変貌を遂げる。
これは、すべてを諦めた少女と、永遠を持て余した孤独な怪物が、互いの魂を喰らい合い、他者が1ミリも介入できない完璧な「愛の檻」を完成させるまでの物語。