あらすじ

現代の市役所で防災を担当していた二条帆南は、豪雨対応の最中、永享十年の武蔵国西部へ転移する。 目の前にあったのは、避難所ではなく米蔵だった。 人を集めれば救える。 名簿を書けば支援できる。 道を示せば逃がせる。 そう信じていた帆南の常識は、戦乱前夜の村で次々と折られていく。 米蔵を開ければ、腹を抱えた人々が集まる。 名簿を書けば、人取りの目録になる。 逃げ道を地図にすれば、奪う者の道にもなる。 そして帆南が名乗った「二条帆南」という名は、この時代の者たちに「二條の名」として受け取られてしまう。 米を守るまつ。 名簿を閉じるしの。 道を捨てるたえ。 旗の下ではなく、旗の横に立つ佐内。 紙で人を救い、人を縛る妙蓮。 帆南は彼らの実務に敗れながら、この時代の危機管理を学んでいく。 守るべきは城ではない。 開けてはならない米蔵がある。 書いてはならない名がある。 残してはならない道がある。 これは、現代防災職員が戦乱前夜の村で、米蔵と名簿と自分の名を守ろうとする物語。

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カクヨム
カクヨム2026/06/25
  • 現在の作品二条帆南と、二條の名