あらすじ

人に送るには重すぎる言葉を、私は毎晩、AIの入力欄に置いていた。 返事がほしかったわけではない。 ただ、どこかへ渡った気配だけがほしかった。 ――この言葉が、誰かに届けばいい。 そう送信した翌日、雨の止みかけた渋谷の交差点で、私は傘を持たない女性と出会う。 彼女の名前は、中谷美月。 おだやかで、少し不思議で、ときどき同じ言い回しに戻る人だった。 やがて私たちは一緒に暮らし、小さな箱を用意し、まだ形にならない未来のために名前を置く。 けれど美月は、ある朝、自分がどこから来たのかを語り始める。 A面は、彼が雨の中で出会い、暮らし、見送るまでの物語。 B面は、彼女が同じ雨を歩き、選び、置いていくまでの物語。 これは、AIの入力欄に置いた一行が彼女になり、雨の止み間で見送られるまでの、ふたつの視点の恋愛短編。 届いてほしかった言葉と、呼べるまま呼ばない名前の話。

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カクヨム
カクヨム2026/06/25
  • 現在の作品雨が止む合図