あらすじ

労働はクソである。 ブラック造船会社で使い潰されていた整備士、カイ・ミナトは、ある日とうとう仕事を辞めた。 金なし。家なし。再就職先なし。 それでも彼には、ひとつだけやりたいことがあった。 母からもらった地球産トマトの種を植えて、風呂に入り、まともな飯を食って、静かに暮らすこと。 そんなカイが廃棄宙域で見つけたのは、百年以上放置されていた旧式移民艦《アーク・ノア》。 推定全長、二十・二キロメートル。 壊れた空調を直しただけのはずが、艦載AIノアにより、なぜかカイは暫定管理人として登録されてしまう。 艦内には、壊れた浴場がある。 止まった食堂がある。 眠った農業区がある。 直せば、風呂に入れる。飯が食える。トマトが育つ。 だったら直すしかない。 しかし、ようやく手に入れた畑予定地を、海賊が撃った。 カイは静かに言った。 「そこ、俺の畑になる予定なんですけど」 そして、全長二十キロの“家”が立ち上がる。 これは、英雄になりたいわけでも、銀河を救いたいわけでもない元社畜整備士が、 風呂と飯と畑を守るために、変形する巨大移民艦を直していく物語。 労働はクソである。 でも、自分の家を直す仕事だけは、少しだけ悪くない。

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小説を読もう2026/06/25
  • 現在の作品社畜整備士、廃棄宙域で全長二十キロの変形する家を拾う