あらすじ
罪悪感と、共依存で作り上げた、二人だけの居場所 『鳥かご』。これは、不幸な事故で被害者と加害者に別れてしまった陸上部のライバル二人が紡ぐ、絶望から始まって再生に至るまでの長い物語――。とある地方のスポーツ強豪校に通う高校2年生の陸上部員、住崎 陽菜(すみさき ひな)と若宮 弥生(わかみや やよい)。二人はクラスメイトであり、走り高跳び選手(ハイジャンバー)として学校のエースの座を競い合うライバル同士だった。初夏のある日、自転車で帰宅していた2人は交差点で接触事故を起こし、車道に投げ出された陽菜は車に撥ねられ、右足に生涯消えないほどの深い傷を負う。医師から競技への復帰が不可能であることを告げられ、陸上部を去った陽菜。加害者になってしまった弥生もまた、自身は傷を負っていなかったのにもかかわらず、陸上部を辞めるという決断をした。それからの日々、放課後の時間の全てをささげて、弥生は陽菜のリハビリに付き添う。季節が巡り、冬の冷たい空気が満ちる教室でひとり、勉強をしていた陽菜のもとに、陸上部の後輩、秋月 有里(あきづき あり)が姿を現す。有里は陽菜に、弥生を解放して欲しいと告げるのだった――。
*このお話は、魔法のiらんどに投稿した2編の作品「飛べない私と 飛ばない君」「再び飛び立つ瞬間を」を編集したものです。前者は「月選」の『鳥かご』に、後者は『私の新しい魔法』に、それぞれ投稿しました。