あらすじ
「君のためを思って言うんだ」
婚約者のフィリップがそう言うたび、私は黙って従う。
「趣味をやめろ」
「レポートを代わりに書け」
「他の男と喋るな」
レティシアにとって、幼い頃に自分を励ましてくれた彼の言葉は絶対だった。
どれも私のために言ってくれているんだ。だから悪いのは私なんだ。ずっとそう思っていた。
しかしある日、大切な思い出のハンカチを踏みにじられたことで気がつく。
――彼が本当に思っていたのは、「私」ではないことに。
これは、「君のため」という言葉に縛られていた令嬢が、自分の人生を取り戻す物語。