あらすじ
少女・牡丹は十年間、座敷牢に閉じ込められていた。
緑色の瞳を凶相だと決めつけた父親に忌み嫌われ、妹から虐げられる酷い人生を過ごしていた。
ある日、結納金目当ての父親により、牡丹は無理矢理に結婚させる。
結婚相手は望月玉露という名の化猫。
つまり、妖怪。
しかも、百鬼夜行を統べる妖怪の王だという。
おぞましい化け物と結婚するなんて無様だ、と妹は嘲笑するが……牡丹の前に現れた玉露は、和風と洋風の色香を混ぜ合わせた圧巻の美男子だった。
玉露は牡丹の緑色の瞳を見て、「美しい」と褒め称える。
凶相と忌み嫌われていた牡丹にとって、それはあまりにも嬉しい出来事だった。
牡丹は流されるままに妖怪の世界に連れていかれ、あれよあれよという内に結婚式を迎える。
玉露は美しく、優しく、とても素晴らしい旦那様。
だからこそ、牡丹は不安だった。
何故、私なんかと結婚してくれたのだろう、と。
真夜中に玉露から呼び出され、牡丹は部屋に向かう。
牡丹の脳裏には『夜伽』という言葉が過る。
結婚式の夜、旦那様が妻を部屋に呼び出すなんて『夜伽』以外に理由はないだろう、と。
しかし、玉露が求めていたものは『夜伽』ではなく、『夜食』だった。
そして、牡丹は少しずつ玉露と心を近づけていき、隠された真実に導かれる――。